“マイナンバートラブル続出” ヒューマンエラーの実情とは? デジタル化の必要性とは?【谷龍哉】
◾️診療記録や銀行口座が紐づくのも時間の問題か
健康保険証は来年秋を目途に廃止され、マイナンバーカードに統合されることが決まったため、長年使っていた健康保険証を急に廃止すると言われれば反発が起きるのも仕方ないんじゃないでしょうか。
一応、新たに保険診療を受けられるよう「資格確認書」を発行することになっていますが、今までとは違い資格確認書を取得するためには申請する必要があります。
勝手に届いていた今までの健康保険証とは違い、年に1回申請しに行かなければならず、不便になったのは間違いありませんが、マイナンバーカードを保険証として使うことを前提にしているので、廃止したいサービスはある程度不便になってしまうのは自然の流れといった印象です。
私も、マイナンバーカードと健康保険証の連携が可能になった当初は、健康保険証は別で使っていきたいと考えていましたが、健康保険証が廃止になる機運が高まり、避けられないと判断した段階でマイナンバーカードに健康保険証を連携しました。
特にトラブルや不便なく使えているので、デジタル化していく世の中では避けては通れない道なのかなと今では納得していますし、使っている人に関しては問題に感じていないのではないでしょうか。
そんなマイナンバーカード関連でトラブルが相次ぎ報道されており、急速な利用者の増加にともなうヒューマンエラーは仕方ないなと静観していたものの、次から次にトラブルが発覚し、河野太郎デジタル相が責任を取って自らを処分する意向を示すまでになっています。
ただ、これらの多くは人為的な登録ミスの可能性が指摘されており、マイナポイントの締め切りを前にした駆け込み需要で、登録者数が激増した背景を考えると、ヒューマンエラーが一定数出てしまうのは仕方ないと感じる面もあります。
いっぽうで、国民の大切な個人情報を扱うにあたって、ヒューマンエラーが起きてはいけないのは全くもってその通りであり、ある程度予期できたであろう膨大な入力処理に関しては、対応出来るチェック体制は整えておくべきだったのではないでしょうか。
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“なぜ日本のデジタル化政策は失敗ばかりするのか?”
甲斐誠著『デジタル国家戦略 失敗つづきの理由』(ベスト新書)
戦犯は誰か? 組織の欠陥と何か? 赤裸々に暴露した書
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<内容>
■過去を振り返れば、日本のデジタル国家戦略は失敗の連続だった。高い目標を掲げながらも先送りや未達成を余儀なくされるケースが多かった。なぜ失敗つづきだったのか? どうすれば良かったのか? 政府主導のデジタル化戦略の現場を密着取材してきた記者がつぶさに見てきたものとは何だったのか? 一般のビジネスマンや生活者の視点もまじえながら、「失敗の理由」を赤裸々に描写する。
■そこには、日本の組織や人材の劣化があった。読者は他人事とは思えない「失敗する組織」の構造を目の当たりにするだろう。
■さらに、先進IT技術の導入による社会変革、いわゆる「デジタルトランスフォーメーション(DX)」が急展開する中、われわれはどう適応し、どうやって無事に生き残っていくべきか? 「デジタル化失敗の理由」を20個厳選し、必須知識として本文中に詰め込んだ。
■セキュリティの厳しさから、DX推進の総本山であるはずのデジタル庁は、中央省庁の職員でさえ敷居が高く、全貌が見えにくい。急激に変貌する社会とわれわれはどう付き合っていけば良いのか? 本書ではデジタル庁とその周辺で今後起きる事態を予測しつつ、読者に役立つ知識を提供する。
<目次>
まえがき 日本のデジタル国家戦略は、なぜ失敗しつづけるのか
第一章 即席官庁
理由1■創設前夜
・時間365日
・地方でも都市並みを提言
・イット?
理由2■15番目の省庁
・人集め
・虎ノ門から紀尾井タワーへ
・幹部人事
理由3■デジタル庁始動
・新しい社会を
・リボルビングドア
・誓約書
・総裁選不出馬
第二章 監視社会
理由4■エルサルバドル仮想通貨大失敗のゆくえ
・ビットコインを法定通貨に
・ビットコインの街
理由5■GPS管理される社員こそ本物の社畜
・リモートワークで暴走する社員管理
・「部屋を見せて」
・ウェブ閲覧履歴はどこまで見られているのか
理由6■社内メールで懲戒になる例とは?
・東京都職員の例
・心理的安全性
・情報はどこまで守ってもらえるのか
第三章 未完のマイナンバー
理由7■マイナンバーと口座の紐付けをぶち上げた総務大臣の苦杯
・コストパフォーマンスが悪過ぎる
・口座紐付け
理由8■取った方が良いのか
・キャバ嬢のケース
・張り込み週刊誌記者の場合
理由9■始まりは「国民総背番号制」
・70年代に検討取りやめ
・多数の不正利用
・3度目の挑戦
理由10■マイナンバーの登場、そして利用範囲の拡大
・相次いだトラブル
・信頼なき社会
第四章 相次いで登場した政府開発アプリ
理由11■政府が推奨したCOCOA、失敗の原因
・不具合
・8・5倍に膨らんだ契約額
理由12■オリパラアプリ、思わぬ副産物
・アプリ一つに73億円
・転用、使い道広がる
・電子接種証明書を開発
第五章 システムとデータで日本統一
理由13■アマゾンを採用した日本政府
・政府調達で日本企業の参加なし
・システムトラブル
・外資にやられる日本
理由14■システム統一の野望
・17業務
・書かない窓口の普及
・自治体は国の端末になるのか
第六章 デジタル敗戦からデジタル統治への野望
理由15■敗北の実態
・本当に負けていたのか
・加古川方式
理由16■新たな統治構造
・役所から人が消える日
・デジタル庁が思い描く未来
・未来社会の到来を阻む障害とは
・ネオラッダイト
理由17■サイバー攻撃に耐えられるデジタル統治国家なんて幻想
・世界初の国家標的型サイバー攻撃
理由18■ウクライナvsロシアのサイバー戦争から何を学ぶか
・サイバー空間での攻防
・オンライン演説行脚
・対策は?
第七章 デジタル社会の海図
理由19■日本は大丈夫か
・日本のサイバーセキュリティの現状は?
・デジタル人材の育成は進むのか
・移民受け入れで「開国」要求
理由20■われわれは何を信じ、どこまで関わるべきなのか
・信用できるネット社会
・ベースレジストリに漏洩の恐れはないのか
・法令データ検索
・岸田政権が掲げたデジタル田園都市構想のゆくえ
あとがき デジタル管理社会は日本人を幸せにできるのか